【医師監修】高齢の患者さんに低血糖がもたらす危険とは?~QOLを保つために

高齢の患者さんは低血糖を起こしやすい?

低血糖に陥ると、初期症状として発汗したり、手がふるえたり、不安な気持ちや動悸が起こるといった自律神経症状が現れます。頭痛や目のかすみ、さらにはけいれんや意識障害といった重篤な中枢神経症状に至る前に、早い段階でブドウ糖をとるなどの対処が必要です。

しかし高齢の患者さんの場合、若年の患者さんに比べて自律神経症状が自覚されにくいという特徴があります。このため低血糖の発見が遅れ、重症化しやすいのです。

また、加齢につれて体重や体の水分量が減少するため薬の血中濃度が上がりやすく、従って薬の必要量も少なくなります。また、水分が減少することで体脂肪率は上昇し、薬が体脂肪に溶けて体にたまりやすくなります。こうしたことから、高齢の患者さんは薬の作用が強く出ることがあります。このためインスリンの効果が強く現れ、その結果、低血糖をきたすこともあります。

シックデイの低血糖に注意

糖尿病の患者さんが感染症にかかり、発熱や下痢・嘔吐を生じ、また食欲不振のためにいつも通りの食事がとれない日のことを「シックデイ」といいます。

シックデイには高血糖になりやすい一方で、食事量が少なくなるため低血糖におちいる危険も高まります。高齢の患者さんにとっても、シックデイの低血糖には注意が必要です。スープやおかゆで水分や栄養を補給し、可能な範囲で血糖値を測定して、状態を把握しておきましょう。

食事が満足にとれない場合にも自己判断でインスリン注射をストップしてはいけませんが、血糖値を下げる飲み薬を服用している場合には量の調整が必要となる場合があります。どんな薬を飲んでいるのか、普段から把握しておくことが大切です。具体的な対応はシックデイの症状や食欲、血糖値の状態をふまえ、医師と相談の上で行ってください。

風邪などの比較的かかりやすい疾患に関しては、あらかじめ医師と話し合い、ある程度の心構えをしておくのもいいかもしれません。

低血糖は転倒の大きなリスクファクター

糖尿病にり患している場合は、そうでない場合に比べて転倒の危険が高いと言われています。高血糖や合併症である神経障害、下肢筋肉の低下などがその一因としてあげられます。さらにいくつかのコホート研究により、転倒・骨折を経験した患者さんの多くに低血糖発作があることがわかってきました。

インスリン療法を行っている患者さんや1型糖尿病の患者さんに骨折のリスクが高いとする研究結果も、低血糖と転倒の関連性を示唆するものといえます。

高齢の患者さんにとって転倒・骨折は、寝たきりにつながりかねない危険をはらむものです。高血糖のケアはもちろんですが、低血糖発作にも十分気をつけ、無自覚のうちに重症低血糖に陥らないようにしましょう。

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