高血圧は要注意、頭痛が起こる糖尿病

糖尿病患者さんで、ときどき頭痛に悩まされている方がいらっしゃるかと思います。
糖尿病患者さんで高血圧の症状もある場合の頭痛は、合併症の前兆である可能性もあります。

ここでは、どうして頭痛が起きてくるのか、また頭痛が起こった場合はどうすれば良いのかについて見ていきます。

糖尿病治療における低血糖から起こる頭痛と対処方法

糖尿病の場合、血糖をコントロールするために、食事療法や薬物療法などさまざまな治療が行われます。
血糖コントロールをするにあたり、医師から処方された血糖値を下げる薬、食事制限、激しい運動などで血糖が著しく低くなり、低血糖になってしまう場合があります。
この低血糖状態が頭痛の一つの原因です。

厚生労働省の重篤副作用疾患対応マニュアル<低血糖>によると、通常血糖値が60~70mg/dL未満になると、脱力感・動悸・頭痛などが出てくることがあり、さらに50mg/dL未満になると、ぼんやりする、うとうとするなどの症状が、30mg/dL未満では、意識がなくなる、けいれんを起こす等の症状が起こりやすくなります。

急に血糖が下がった場合は、血糖値を上げるアドレナリン等が副腎から分泌され、血管の収縮・拡張が繰り返されます。
これが神経を刺激することで頭痛が起こり、頭の片側のこめかみから目にかけて、又は頭の両側や後頭部がズキズキと脈を打つような痛みが起こります。

インスリンの注射を打っている方の場合、低血糖は、注射のタイミングが早すぎたり遅すぎたり、また食事量が少なかったり、過剰な運動で起こりやすくなります。

まずは頭痛の原因になっている低血糖に注意するように心がけましょう。
低血糖による頭痛が起こってしまったときは、飴や砂糖を含むジュースなどの吸収の早い糖分やブドウ糖を摂取するようにします。

常5~10分程度で症状は改善することが多いですが、繰り返す場合や長く続く場合は医師等に相談するようにしてください。
他には光の刺激を避け静かな部屋で安静にしたりすると楽になる場合があります。

また、頭痛のツボとして知られる完骨(かんこつ)を指圧するのも良いでしょう。
完骨は、耳の後ろ側にある骨の膨らみの下から指1本分上にあるツボで指に頭の自重をかけ、指も上に押しこむような感じで刺激します。

糖尿病で気をつけなければいけない高血圧と頭痛

糖尿病患者さんの2人に1人は高血圧を合併していると言われていますが、高血圧があると頭痛を起こしやすくなります。

脳動脈は、交感神経等の神経性調節以外にも自己調節機構で血流量などが調節されています。
1993年に日本内科学会雑誌に出された『頭痛の発生機序』という論文では、この自己調節機構は、通常平均血圧が65~150mmHgの範囲にあるときに脳の血流が正常に保たれるようにするしくみになっています。
このしくみが働く血圧の範囲は、交感神経が活発になると広くなり、活発でなくなると狭くなるようにできています。
私たちが夜寝ている間は、交感神経の働きが弱くなり、自己調節機構が働く範囲が狭くなり、上限が150mmHgから下がってきます。

高血圧の人で頭痛が起こることが多いのは、夜間に自己調節機能で調整できる範囲が狭くなり、血圧が自己の範囲を超えてしまうため、脳の細動脈が拡がり、それが原因と考えられます。

また、糖尿病で高血糖の状態が続くと、浸透圧の差で血管内に水分が入ってくることで、血液全体の量が増えて血管を圧迫するため、高血圧になりやすくなります。

高血圧の初期には、頭痛・頭重感、めまい、耳鳴り、肩こり、手足のしびれ、動悸、脈の乱れ、心臓部の圧迫感などの症状が出やすくなります。
糖尿病でこういった症状が複数、頻繁に出るようになった場合は、血圧も注意してコントロールしていく必要があります。

特に気をつけなければいけないのは、頭痛とともに手足がしびれて視野が狭くなったり見えにくくなる、言葉がなんとなくしゃべりにくいといった症状がある場合です。
こういった場合は、たとえ頭痛が軽かったり頻度が多くないとしても、動脈硬化による初期の脳梗塞の可能性もあります。

頭痛に加えて上記のような症状があった場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

頭痛の対処と糖尿病・高血圧の日頃のケア

頭痛が続く場合、また頻繁に起こる場合は、脳や脳血管に何らかの異常がある可能性もあります。
脳出血や脳梗塞の原因となる動脈硬化のリスクは、糖尿病でない人に比べて2~3倍高くなります。
(疫学研究である久山町研究によるhttp://www.envmed.med.kyushu-u.ac.jp/research/disease05.html)

また糖尿病と高血圧を併発している場合は、動脈硬化のリスクはさらに高まります。
脳や脳血管に異常がある可能性があり早めに医師の診療を受けるべきケースとしては、突然激しく痛む、頭痛の頻度・程度が増していく、数回市販の頭痛薬を飲んでも良くならないなどの場合です。

高血圧からきていると思われる軽い頭痛は、先にも見てきたように、自己調節機構を動かすために朝軽く身体を動かして交感神経のスイッチを入れたり、頭から首にかけて軽くマッサージしたり、光や音が落ち着いた静かな部屋でリラックスすることで症状が軽くなります。

頭痛がつらい時は、市販の頭痛薬を飲むというのも一つの選択肢です。
しかし頻繁に頭痛薬を用いると、そのことで逆に頭痛がひどくなったり、薬を止めると痛みが出る場合もあります。
市販の頭痛薬は必ず使用上の注意を守り、他の薬も服用している場合などで不安があるときは医師に相談してみましょう。

また、血圧を上げるような生活習慣は改善が必要です。
具体的には、ストレスを溜め込む、喫煙、塩分の多い食事などは控えるようにします。
動脈硬化を防ぐには、高血糖・高血圧とともに動脈硬化の原因になるコレステールの摂りすぎにも注意し、卵や肉といったコレステロールを多く含む食べ物を摂りすぎないようにすることも大切です。

糖尿病・高血圧での頭痛は随伴症状に注意

これまで見てきたように、糖尿病・高血圧の方の頭痛は、通常のストレスや緊張により起こるものや、低血糖が原因のもの、高血圧の症状として現れるものなど、いろいろな原因で起こります。

また脳梗塞やくも膜下出血の前兆ともいえる動脈硬化からきているものもあります。
特に手足のしびれや上手くしゃべれない等の随伴症状がある場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。

頭痛が続く場合は、頭痛外来などの頭痛専門医に相談することも必要です。

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