高血糖が引き起こす悲劇。梗塞のメカニズムとその症状

糖尿病を原因とした様々な症状の中で、全身に悪影響を及ぼす危険性が高いものの代表が「動脈硬化」です。元々糖尿病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状が現れにくいのが特徴ですが、「動脈硬化」もしかり、動脈硬化によって血管が90%塞がるまではほとんど自覚症状がない上に、糖尿病患者の多くが、実際に糖尿病の診断を受ける以前から食後血糖値が高い状態であった可能性が高く、診断前から既に動脈硬化が始まっていると言われています。動脈硬化が進行すると、血管の血流が阻害され「梗塞」を起こし、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を発症させます。

今回は糖尿病により梗塞を引き起こした経験を持つ二人の男性にお話を聞きました。

①糖尿病発症から約10年、平穏な日々から一転「突然目の前が真っ暗に」

脳梗塞で左半身マヒになった60代男性Aさんの場合

Q  糖尿病と診断されたのはいつですか?

会社で課長に昇格した48歳の頃でした。健康に気を使うよりも仕事第一の毎日、職場の健康診断では、中性脂肪は200mg/dl前後、空腹時血糖は120mg/dl前後とどちらも若干高めでしたが、特に気にすることなく過ごしていました。そんな時、節目にと受けた人間ドックでHbA1cが8%の高値を示し、精密検査を受けたところ「糖尿病」と診断されました。

Q 脳梗塞を起こしたのはいつですか?

糖尿病を患って14年目の62歳の頃でした。糖尿病という自覚が薄れ始め、定期受診もさぼりがちに。また元来の食道楽から外食の機会が多く、食事療法は自宅で食事するときだけの生活で、定年退職してから体重は8kgも増加し、立派なメタボ体型となっていました。

その日は同期の仲間と共にゴルフを楽しんだ後、クラブハウスでビールを飲みながら談笑していると、酔ってもいないのにろれつが回らず、「酒が弱くなったな~」などと話していました。食事を終え、席を立とうとしたところ、急に目の前が真っ白になり、気がついた時には病院のベッドの上。目覚めた当初、左半身に感覚がなく、絶望感に打ちひしがれたのを今でも昨日のことのように覚えています。

Q 脳梗塞後の生活はいかがですか?

脳梗塞の発作から1か月で退院、週一回のリハビリ通院を続け、早1年が経ちました。少しずつ今の身体にも順応して来ましたが、今でも杖がないと歩行が不安定で、妻がいなければ外出も出来ません。話好きなので、言語障害が出なかったのは唯一の救いです。なぜもっと真剣に糖尿病の治療を行わなかったのかと自責の日々です。

②急な発作で判明。自分が糖尿病だったなんて

心筋梗塞で一時意識不明の重体に・・・50代男性Bさん

Q  ご自身が糖尿病だったと気付かれていなかったそうですが?

はい、本当です。うちは自営業で長年健康診断を受けた事がありませんでした。受けたほうがいいと家内には再三言われていましたけどね。

Q   心筋梗塞の発作を起こした時の事を教えて下さい。

発作を起こした朝はいつもより体が重く、でも一件どうしても外せない仕事があったので、車に乗って出かけようとエンジンを掛けた瞬間、胸がギューっと押しつぶされる激しい痛みに襲われ、意識を失いました。その時運よくハンドル部分に倒れこみクラクションが鳴って、その音に駆けつけた家内がすぐに救急車を呼んでくれ病院に搬送されました。あのまま車の中で気付かれるのが遅れていたらと思うと、家内には感謝の言葉しか出てきません。

Q   心筋梗塞後、生活は変わりましたか?

不幸中の幸いで、後遺症は殆どありませんが、すこし階段を登っただけで直ぐに息切れし、以前よりも疲れやすくなったのは確かですね。糖尿病が原因の1つということもあり、現在は糖尿病と、不整脈のために定期的な通院治療をおこなっています。日常生活の変化といえば、発作をきっかけに神経質なぐらい食事に気を使っていますね。もうあんな体験はたくさんですから。

「梗塞」を起こす人の傾向は?

お二人のお話から見えて来る共通点は一言でいうなれば「無関心」という点にあるといえるでしょう。
Aさんは、糖尿病と知りつつ自覚症状が無いのを良いことに、十分な治療を放棄。
Bさんは健康診断を受ける意思がなく、その結果糖尿病を放置し続けていました。

糖尿病も、糖尿病の合併症の動脈硬化にしても、目に見えないからこそ、自らの身体に「無関心」では悪化の一途です。

糖尿病の自分に目を背けず向き合うためには、まずは定期的な検査で今の自分の状態を知る事から始まります。脳梗塞や心筋梗塞などの危篤な状態に陥らないためにも、自身の内なる声に耳を傾ける姿勢が重要です。

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