重大な合併症のキーワード「しめじ」と「えのき」とは?
「しめじ」は末梢神経に起こる合併症
「しめじ」があらわす「神経障害」「糖尿病網膜症」「腎症」は、末梢神経と呼ばれる体の細い血管が傷ついて発症する症状です。これらの症状の内容を以下にまとめました。
・「し」神経障害
糖尿病で高血糖の状態が続くことによって、血流の悪化したり余分なブドウ糖などが影響して、神経にさまざまな障害が起こること全般を指します。
はじめは手足のしびれや痛みが起こり、進行すると立ちくらみや発汗障害、インポテンツ、便秘、膀胱障害などの多岐にわたる影響があらわれます。
さらに悪化すると、体に壊疽が生じる可能性があります。また、無自覚性低血糖による意識の喪失、無痛性心筋虚血による発作によって、突然死を起こしてしまう危険性が高くなります。
・「め」糖尿病網膜症
光を脳に伝える機能をになう網膜は、毛細血管がたくさん分布しています。高血糖をそのままにしていると、網膜の毛細血管にダメージを受けてしまい、視力の低下を引き起こします。
はじめのうちは小さな出血点があらわれ、進行するにつれて大きな斑点や出血になります。
さらに進行すると、次に前増殖性網膜症、その次に増殖性網膜症へと移行します。増殖性網膜症の段階になると、治療は困難になってしまいます。
糖尿病網膜症は糖尿病の合併症の中でも特に深刻な症状で、欧米ではこの症状が失明原因の第一位となっています。
・「じ」腎症
高血糖や高血圧は、腎臓を構成している「糸球体」という組織の働きにも影響し、糖尿病性腎症という症状を引き起こすきっかけになります。
腎症は、かなり進行した「腎不全」という段階になるまで自覚するのが難しく、早い段階では採血や尿からの検査で症状を判定しなければいけません。
糖尿病性腎症が進行すると腎機能が低下し、透析療法が必要になる可能性があります。日本で人工透析を行っている患者さんのうち約20%が糖尿病の患者さんで、糖尿病性腎症は慢性腎炎に次いで2番目に多い原因となっています。