糖尿病合併症の元凶は血管障害にあり!血管障害の原因と予防法を解説

糖尿病は合併症が多いことでよく知られていますが、合併症の中でも三大合併症と呼ばれる糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害は血管障害が原因です。そこで糖尿病と血管障害、三大合併症の関係や血管障害の予防法について解説していきます。

血管障害とは?

血管障害とは、血管がなんらかの原因で破れたり、詰まったりすることによって血管に傷害をもたらすことで、血栓や梗塞などを起こすことを言います。血管が傷つく場所によって呼び方が変わり、例えば心臓に起これば心臓血管障害、脳に起これば脳血管障害と呼びます。

実は、糖尿病の合併症を引き起こす多くの原因はこの血管障害によるものであることがわかっています。

糖尿病で注意すべきなのは合併症ですが、合併症が起こるのは糖尿病の治療が不十分であるためです。血糖コントロールができておらず、高血糖状態が続くと血管が傷害され、もろくなります(血管障害)。血管がもろくなると適正な栄養が各器官に供給できず、血管だけではなく、体全体を網羅する神経をはじめ、全身の臓器にまでさまざまな障害を引き起こします。これを糖尿病合併症と呼んでいます。

血管障害の種類と糖尿病合併症との関係

糖尿病の合併症は大きく分けると、

  • 細小血管障害(毛細血管などの細い血管を中心に起こる)
  • 大血管障害(太い血管に起こる)

の2種類があります。

この2つを慢性合併症と呼び、急性合併症(インスリンの作用不足によって起こる糖尿病ケトアシドーシスや感染症など)と区別しています。
糖尿病合併症にはさまざまなものがあり、その多くは血管障害が原因になっていますが、今回は特に血管障害が原因となる慢性合併症について詳しく見ていきたいと思います。

<細小血管障害と糖尿病合併症>

糖尿病の三大合併症でよく知られている糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害はいずれも細小血管障害が原因です。

・糖尿病網膜症
高血糖状態が続くことで網膜の毛細血管に傷害が起こり、眼球内の出血や網膜剥離を起こす

・糖尿病腎症
腎臓で尿を作るための腎糸球体と呼ばれる毛細血管の塊が高血糖により傷害され、腎機能障害を起こす

・糖尿病神経障害
高血糖によって神経細胞の代謝障害を起こしたり、神経細胞に栄養を送る毛細血管の循環を傷害することで神経障害を起こす

<大血管障害と糖尿病合併症>

食後高血糖により血管に負担がかかると、血管内皮細胞を傷つけ、細胞の持つ動脈硬化を防ぐ働きを弱めてしまい、脳の血管なら脳梗塞、冠動脈なら心筋梗塞、足の血管なら閉塞性動脈硬化症を引き起こす

血管障害を招く原因とは?

糖尿病によって高血糖状態が続くことで血管が傷つき、血管障害を起こし、それが原因で合併症を引き起こすのが糖尿病合併症のメカニズムですが、もう少し血管内部で起きていることについて詳しく説明しましょう。

血管は、血管内皮と平滑筋で構成されています。

血管障害とは血管が傷ついている状態ですが、血管内皮と呼ばれる血管の内側を覆っている細胞の機能が低下することで血管障害は起こります。このことを血管内皮機能障害とも呼びます。

血管内皮には、血管に障害が起こらないようするための働きがあります。けがをした時などに出血を抑えるため、血液には凝固する性質がありますが、血液が血管内で固まるとさまざまな障害を引き起こしてしまうので、血管内皮が血管内の血液が固まらないように調整しています。

さらに、もう一つ重要な働きがあります。それは一酸化窒素(NO)というガスを放出する働きです。一酸化窒素自体は血管内皮以外の場所でも産生されるのですが、血管内皮から産生された一酸化窒素は、平滑筋でできている血管壁に作用し、平滑筋を緩めることで血管を拡張させます。
このように血管内皮は、血液の固まりやすさや血管の広がり方を調整していることが研究でわかってきています。

喫煙者や糖尿病患者さん、高血圧の患者さんはこの重要な血管内皮機能が低下してしまうことがわかっています。
どうして血管内皮機能が低下するのかというメカニズムは解明されていませんが、今わかっていることは、血管内皮の機能が低下すると一酸化窒素の産生が抑制されるので、血管が詰まりやすくなったり、破れやすくなって血管障害を招いてしまうということです。

血管障害によって血液の流れが悪くなると、血管に負担がかかるので、さらに血圧が上がり、動脈硬化も進行させてしまったりと悪循環に陥ってしまいます。
そこで、血液の流れを悪くし、血管障害を招くリスク因子と考えられている喫煙、コレステロール値、血糖値に注意する必要があります。

糖尿病患者さんが血管障害を予防するには?

糖尿病患者さんが血管障害を予防し、合併症のリスクを減らすにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

日本脈管学会で2007年に発表された論文「糖尿病血管障害に対する予防・治療戦略」によると、
血糖コントロール、血圧管理、高脂血症(血液中の脂肪分の濃度が異常値を示す病気)、喫煙の4つを積極的に是正することが重要だと述べられています。具体的にどのように改善、予防すれば良いのかをご紹介します。

・血糖コントロール
血糖コントロールではHbA1c値6.5%未満を目標とし、定期検査や治療を継続する

・血圧管理
高血圧治療ガイドラインの糖尿病患者の目標値と同じく、血圧130/80を目標とし、定期検査や治療を継続する

・血清脂質異常
主にLDLコレステロール値を少しでも下げるために食生活の改善や定期検査をおこなう

・喫煙
大血管障害、細小血管障害のどちらにも喫煙が危険因子となるため禁煙がすすめられる

普段からの検査や予防が合併症のリスクを減らす

糖尿病の合併症を予防するには血糖コントロールが重要ですが、糖尿病の合併症は自覚症状に乏しいという特徴があるため、初期の段階でもすでに合併症のリスクが高まっている場合もあります。したがって、血管障害に起因する糖尿病の合併症(三大合併症と脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化)を予防するには、血糖コントロールはもちろん、血圧やコレステロール値も定期的に測定することが大切になので、医師の指示通りに通院し、定期的な検査を受けましょう。また、喫煙習慣のある方は早めに禁煙に踏み切るのがおすすめです。

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