3方向からのアプローチ!自分で血圧を下げる生活を目指そう!

はじめに

糖尿病では、合併症を引き起こさないためにも血糖と血圧のコントロールがとても大切です。
今回は血圧に注目して、運動療法、食事療法、薬物療法の3方向から血圧を下げるための方法をご紹介します。

糖尿病で高血圧だとなぜ危険なのか?高血圧の自覚症状とは?

糖尿病の自覚症状として知られている「トイレが近い」「喉がよく渇く」「体がだるく疲れやすい」などがありますが、これらの自覚症状が現れたときには糖尿病がすでに進行している可能性があります。
糖尿病の初期の頃には自覚症状があまりないことは、糖尿病の特徴でもあります。

高血圧も同様に、ほとんど自覚症状がなく、「頭痛」「耳鳴り」「肩こり」「浮腫」「動悸・息切れ」など、見逃してしまいやすい症状が多いのです。

特に、糖尿病と高血圧を併発している場合は、糖尿病のみ、あるいは高血圧のみの場合よりも動脈硬化の進行を早めてしまうことがあります。
これは、糖尿病で血糖値が高いことで血管の内側の壁を傷つけやすくなっている状態に、さらに高血圧によって血管に負担がかかってしまうからです。

また糖尿病の場合、血糖が高いことにより血液量の増加、インスリン抵抗性といって血管が広がりにくい状態、血圧を上げるホルモンの分泌などが起きやすく、これらはすべて高血圧の原因にもなります。
すなわち、糖尿病を患っている方は高血圧になりやすい状態とも言えるのです。

そのため糖尿病患者さんは、血糖コントロールだけではなく、血圧コントロールにも取り組むことも非常に重要になってきます。

高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)では、血圧を130/80mmHg未満を目標にしています。
この目標値を目指して、糖尿病治療の基本である、運動、食事、薬物療法の3方向から血圧を下げる方法を見ていきます。

運動で血圧を下げる!続けられる運動量を決めるのがポイント

まず、血圧をコントロールするために、運動で血圧を下げる方法をご紹介します。

そもそも血圧とは、簡単に言うと、血液が血管壁を押す力のことを言います。
運動すると一時的に血圧は上がりますが、血管が拡張し、血液循環が良くなり血流が良くなるため、血管を押す力が減少して運動後は血圧が下がります。
また、普段から無理のない運動量で運動を継続していくことで、平常時の血圧も下がってきます。

血圧_下げる

     
           図;運動による降圧効果(出典;福岡大学 荒川規矩男 http://www.med.or.jp/people/plaza/backnumber/no013/013.html)

具体的な運動の強度は、やや息がはずむ程度の強さが好ましいです。
例えば、ウォーキングであれば早歩きといった程度で、続けていると少し汗ばむくらいが目安です。

運動の時間は、1回15分〜30分程度で十分です。
まとまった時間がとれないという場合は、15分を2回など小分けにしても構いません。
運動の頻度は1週間に3〜5回が目安です。
毎日が辛いときは1日おきでも良いでしょう。

また、運動を始める前にストレッチなど準備運動をするように心がけてください。

ただし、糖尿病で高血圧の方は、運動する時に注意する点があります。

それは、運動を開始するタイミングです。
食後、時間が経ってから運動したときや、いつもより激しい運動をしたときは、低血糖症状が起きることがあります。
糖尿病の薬で血糖の上昇を抑えている場合はなおのこと、運動することにより筋肉で血液中の糖分を使うので、血糖が少なくなりすぎてしまうことがあるのです。

低血糖症状として汗や手足の震え、動悸などの症状がありますので、このような症状が出てきた場合にはブドウ糖を補給しましょう。
できれば、食事後1時間〜1時間半後に運動を開始するのがベストです。

また、普段運動をしていなかった人が慣れない運動をしたり、急に激しい運動をすることによって、ストレスや緊張を感じて血糖値や血圧が上昇することがあります。
高血圧の方がさらに血圧が上げてしまうと動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
医師との相談のもと、運動強度を軽くする、運動時間を短めにするなど無理をしないようにおこないましょう。

食事で血圧を下げる!まずはマイナス3キロを目指そう!

圧を下げるには、運動療法と食事療法を並行して減量するのが早道です。

体重と血圧の関係を調べた研究によると、体重が1kg減ると血圧は約1.7mmHg下がることがわかっています。
3kg減量すれば約5mmHg下がる計算になるので減量の効果は非常に大きいと言えます。

ただし元の体重や健康状態を見ながら、無理のない範囲で行ってください。
(参考記事:「鳥取県医師会」回答より他)

食事療法は、スタート時から厳格に行うのはなかなか難しいので、まずは1日200〜300キロカロリー程度の量を減らすようにしましょう。
これは、例えば間食を1つ控える、おかずの1品を控えるだけで達成できます。

糖尿病で高血圧がある人は、減量に加えて減塩にも努めましょう。
高血圧治療ガイドラインで定められている1日6g以下を目標にしましょう。

減塩の簡単な方法は、「みそ汁やラーメンなど、塩分の高い汁物を控える」「醤油やソースは直接料理にかけずに小皿にとってつけるようにする」などがあります。

手軽ですぐにでも始められるので実践してみましょう。

薬で血圧を下げる!

最後に、薬物療法として高血圧の薬の効果と注意点について紹介します。
高血圧の薬には大きく分けて、「血管を拡げる薬」と「心拍出量を減らす薬」の2種類があります。

◇血管を拡げる薬

●カルシウム拮抗薬…カルシウムが血管の細胞に入るのを防いで血管の収縮を抑える
ニフェジピン、アムロジピン、ベニジピンなど
注意点;
グレープフルーツを食べたりジュースで飲んだりすると、薬の効き目が強く現れ、血圧が下がりすぎることがあるので注意が必要

●レニン・アンジオテンシン系抑制薬…血圧を調整する仕組みに作用して血圧を下げる
イミダプリル、エナラプリル、シラザプリルなど
注意点;妊娠中の服用は禁忌

●ARB…血圧を調整する仕組みに作用して血圧を下げる
ロサルタン、テルミサルタン、カンデサルタンなど
注意点;妊娠中の服用は禁忌

●α遮断薬…交感神経の働きを抑えて末梢血管を拡張させる
トラゾリン、ドキサゾシン、フェントラミンなど
注意点;立ちくらみを起こすことがあるので、転倒のリスクがある人は注意する

◇心拍出量を減らす薬

●β遮断薬…交感神経の刺激を抑えて心拍出量を減らし血圧を下げる
アテノロール、カルベジロール、メトプロロールなど
注意点;脈が遅くなる副作用が起こる場合があるので不整脈の人には禁忌

●利尿薬…体内のナトリウムや水分の排泄を促し血液量を減らして血圧を下げる
トリクロルメチアチド、インダパミド、フロセミドなど
注意点;鎮痛薬と長期間併用すると血圧が下がりにくくなる
水分の排泄を促すので脱水に注意し、水分とカリウムを補給すること

生活習慣の改善をしてもなかなか血圧が下がらない場合には、合併症の発症予防目的で薬物療法が行われることがあります。
脳卒中や心筋梗塞などの合併症のリスクを防止することが何よりも大切ですので、面倒でもきちんと指示通りに服用するようにし、気になる副作用が現れた場合はすぐに医師に相談しましょう。

まとめ

糖尿病と高血圧は、放置しておくとさまざまな合併症を引き起こし、時には命に関わる重篤な状態に陥ることもあります。
運動や食生活の改善をすれば、血圧はある程度下げることができます。
少しずつでも普段の生活の中に血圧を下げる食事方法や運動を、継続して行っていくことが大切です。

また、糖尿病と高血圧の進行状況にもよりますが、危険な合併症を防ぐために、積極的に薬による治療を行うことも増えてきています。

薬はできるだけ飲みたくないという方もいらっしゃると思いますが、医師の指導に従い、きちんと治療や薬の服用を続けていくことが糖尿病治療には肝要です。

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