【医師監修】糖尿病の三大合併症の一つ「糖尿病腎症」のステージ別の症状と治療法

糖尿病で高血糖状態が続くと、細い血管からダメージを受けていきます。血液をろ過する働きのある腎臓の糸球体も、ダメージを受けやすい細い血管の集まりです。糸球体の血管が傷つき、腎機能が低下してしまうと糖尿病の三大合併症でもある「糖尿病腎症」を引き起こしてしまいます。

今回は、「糖尿病腎症」の症状をステージ別に見ていきましょう。

糖尿病腎症は、透析の最大の原因

腎臓は主に、血液中の老廃物や塩分を尿として排出する働きや、水分と塩分のバランスを保ち血圧を調整する働きを持っています。そのため、腎不全となると血液を人工的に透析しなければならず、生活に大きな支障をきたしてしまいます。糖尿病腎症による透析患者数は全体の約44%と、透析治療の最大の原因となっています。

糖尿病腎症は糖尿病を患ってすぐ発症するものではなく、10~15年以上と長い歳月をかけて発症するケースが多いと言われています。ただ糖尿病と同様、初期症状に乏しく、見つかったときにはすでに進行している場合もあります。

糖尿病腎症のステージ別の症状と、食事療法における制限

徐々に進行していく糖尿病腎症ですが、次のような病期に分類され、病状に合わせた治療が行われます。
病期は、尿タンパク値、またはアルブミン値によって診断されます。

※数値はこちらを参照

◆第1期(腎症前期)~第2期(早期腎症期)

微量のアルブミン(たんぱく質の一種)が尿中に出ます。この時点では、まだ蛋白(たんぱく)尿の数値も微々たる変化であり、自覚症状はほとんどありません。しかしこのときに厳格な血糖コントロールを行えば、糖尿病腎症の進行を食い止めることも可能です。

<食事療法>
適切なカロリー内の栄養バランスの整った糖尿病食。たんぱく質の過剰摂取は避ける。
第2期ではたんぱく質を、標準体重1kgあたり1.0~1.2gに制限。

◆第3期A、B(顕性腎症期)

腎機能の低下が進み、尿に含まれるアルブミンが多くなってきます。個人差はありますが、第1~2期から3~5年ほどで第3期に進む場合が多いと言われています。
第3期Bではさらに高度な蛋白尿が出て、「ネフローゼ症候群」と言われる状態となり、むくみや息切れが起きたり、高脂血症を合併することもあります。また血圧が上昇するため、血管に負担をかけ、さらに腎症悪化の悪循環に陥ってしまいます。

<食事療法>
適切なカロリー内の栄養バランスの整った糖尿病食。
たんぱく質を標準体重1kgあたり0.8~1.0g、食塩を7~8g未満/日に制限。

◆第4期(腎不全期)~第5期(透析療法期)

さらに症状が進み、腎機能が通常の5~10%まで低下すると、透析が検討、実施されます。むくみや息切れ、食欲不振、吐き気、筋肉の強張り・痛み、腹痛、手のしびれなどさまざまな症状が現われます。透析のほか、腎移植が検討されることもあります。 

<食事療法>
適切なカロリー内の栄養バランスの整った糖尿病食。たんぱく質を標準体重1kgあたり0.6~0.8g、食塩を5~7g未満/日、カリウムを1.5g未満に制限(ただし透析患者さんは透析患者用の食事)

※高血圧がある場合には、どの病期でも食塩は6g/日未満に制限。

初期の段階での血糖コントロールが重要!

糖尿病腎症は、糖尿病の基本治療である血糖コントロールによってその進行具合が左右されます。第1~2期であれば、血糖コントロールや血圧コントロールを良好にすることで、蛋白尿が出ない状態にすることも可能です。しかし第3期以降になると、進行を遅らせることはできても通常の状態に戻すことはできないと言われているため、早期発見、早期治療が肝心なのです。

日々の食事は、通常の糖尿病食をサポートする「糖尿病食事療法のための食品交換表」の別冊「糖尿病性腎症の食品交換表」を参考にすると良いでしょう。

定期的な検査を

糖尿病腎症は初期症状に乏しい病気ですが、初期の段階で適切な食事療法を始めることが大切です。定期的な検査をしっかりと受けるようにしましょう。

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