糖尿病における糖質制限の効果~無理なく安全に続けるために~

糖尿病の治療に不可欠な食事療法の最大のポイントは、血糖のコントロールです。
糖質を摂ると血糖値が上がるため糖質の摂取制限をすることで血糖をコントロールすることが可能です。

ここでは、糖質制限とはどのようなものなのか、また、無理なく安全に糖質制限を続けられる方法やポイントなどをご紹介していきます。

糖尿病における糖質制限と、そのメリットとは?

糖質制限とは、日々の食事において、炭水化物の摂取を制限することです。

糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称です。
そのため炭水化物が全て糖質とは言えないのですが、炭水化物中に占める割合は大きいことから「糖質≒炭水化物」と考えられることもあります。

また、ご飯やパン、麺類などの主食に代表されるような炭水化物は、食事の中でも割合が大きいため、「糖質制限」として「炭水化物を制限する」ことが必要なのです。

炭水化物の摂取を制限した食事を続けることで、血糖のコントロールだけではなく、適正な体重にコントロールする効果もあります。
また摂取するべき糖質の量は、1日に摂取するべきエネルギー総量の50%~60%とされています。

糖尿病における糖質制限は、糖質(炭水化物)の摂取制限を行うことで、血糖のコントロールにおいて効果が表れやすいというメリットがあります。

しかし、血糖のコントロールという視点から有効とされる糖質制限ですが、一方でデメリットもあるとされています。
続いて、糖質制限に重点を置くことで懸念されるさまざまな影響について見ていきます。

糖尿病における糖質制限食のデメリットとは?

2013年3月、日本糖尿病学会より「糖尿病における食事療法の現状と課題」と題した提言が発表されました。
その一部を抜粋すると、

「適正な栄養素摂取の在り方とその指導法について、継続的に検討を加えていかなければならない。最近では、炭水化物について、血糖に対する直接的な影響ばかりでなく、肥満の是正に対する効果などからその摂取量に関心が高まっているが、各栄養素の意義はエネルギー代謝に関する包括的な視野に立って評価すべきであり、決して個々の栄養素に限定して論じることはできない。」

という記述がなされています。

つまり、糖尿病の食事療法における栄養素の摂取方法のあり方として、炭水化物(糖質)が血糖や肥満への影響があるが、炭水化物以外の栄養素(たんぱく質や脂質)もエネルギー代謝に関わっていることから、炭水化物のみを制限するといった個々の栄養素に限定した食事療法を奨めるべきではなく、炭水化物も適度に摂取していくことは大切。
たんぱく質や脂質のコントロールなども含め、総合的な食事療法を行うべきである、ということです。

また日本糖尿病学会は、糖質制限食を奨めない理由を以下のように提言しています。

「糖尿病で重要な、肥満の予防・改善において、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、本来の効果だけでなく、長期的な食事療法を守ることや安全性など、重要な点について科学的な根拠に乏しい。」

糖尿病患者さんにとって、食事療法は一生涯付き合っていかなければならないことなので、安全に続けていけることが何よりも重要です。
炭水化物のみの極端な制限は、その効果や安全性に疑問が持たれているのです。

また、糖質制限食による食事療法を行うことで、1日に摂取するエネルギー量のうち、たんぱく質や脂質などの他の栄養素でエネルギーを補うことになるため、たんぱく質や脂質の摂取量が上昇する傾向にあります。

糖尿病の合併症である糖尿病腎症や、脂質代謝異常(高脂血症)などがある場合には、たんぱく質や脂質の摂取コントロールをしなければならない場合もあるため、糖質制限により他の栄養素からのエネルギー摂取の偏りには注意する必要があります。

脂質摂取量が増加することにより糖尿病が増加していることや、糖尿病が心筋梗塞や狭心症といった心血管疾患を引き起こす大きな危険因子となっていることから、糖尿病患者さんの1日の摂取エネルギー総量における脂質の摂取比率に上限を設けることも検討されています。

無理なく安全に続けられる糖質制限のポイント

これまで見てきたように、糖質制限には血糖と体重のコントロールというメリットがある一方、糖質の制限のみに偏ってしまうことで、たんぱく質や脂質の摂取比率が増え、さまざまな合併症などの発症や進行に影響を及ぼす可能性がデメリットの1つとして挙げられています。
では糖尿病の食事療法として、どのように糖質制限を行えば良いのでしょうか。
無理なく安全に行う方法やポイントをいくつかご紹介します。

また前提として、食事療法は、きちんと実行することと継続することが不可欠です。

①3大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)のバランスを踏まえ、炭水化物は1日の摂取エネルギー量の50~60%、たんぱく質は標準体重1kgあたり1.0~1.2g、残りを脂質とする。
この目安量はあくまで一般的なものとなるので、自分の1日のそれぞれの栄養素における摂取エネルギー量や比率を、医師や管理栄養士に確認してください。

②「食品交換表」を利用し、摂取エネルギーのコントロールと栄養のバランスをとる。
「食品交換表」とは、糖尿病の食事療法のための献立作りをより分かりやすく簡単にするために作られたもので、日々の食事にとても役に立ちます。
本屋やインターネットなどで手軽に手に入るので、糖尿病の食事療法の際は1冊持っていると安心です。

③糖質の種類を理解する。複合糖質の摂取を主体とし、単純糖質の摂取を控える。
糖質には、「複合糖質」と「単純糖質」があり、「複合糖質」はご飯やパンなどの主食に代表されるような穀類やデンプン質を指します。
糖質の他、たんぱく質や脂質など、他の栄養素も含むため、「複合糖質」と呼ばれます。

また、お菓子などの甘いものに多く含まれる砂糖を主としたものが「単純糖質」です。
「単純糖質」は「複合糖質」よりも血糖値の上昇が大きいため、糖質はなるべく「複合糖質」で摂ることが望ましいといえます。

④食事の順番・食べ方を工夫して、急激な血糖値の上昇を防ぐ。
食物繊維を多く含む食品(野菜や海藻・きのこ類)を先に食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
またある程度の満腹感を先に得ることができるため、ご飯などの食べ過ぎを防ぐこともできます。

⑤低糖質の食品(全粉粒のパンや、こんにゃく入りのご飯など)の活用
糖尿病患者さんなどのために作られた糖質を抑えた食品がスーパーやインターネットで売られています。
これらの低糖質食品を取り入れることによって、ボリュームを落とさずに糖質を控えることができます。

より有効で安全な糖質制限のために

糖尿病の食事療法において、糖質の制限は、血糖や体重のコントロールという視点からメリットはありますが、極端な糖質制限は、たんぱく質や脂質摂取の増加を招きやすく、かえって糖尿病そのものの進行や、合併症の発症や進行に影響を及ぼすなどのデメリットが懸念されます。

糖質制限には、糖尿病や合併症などの進行具合に合わせた細かな対応が不可欠です。
自己の判断で行うのではなく、医師への相談の上で行い、状況の変化に合わせた食事療法を継続的に実行することが重要です。

参照・参考
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013|南江堂
一般社団法人 日本糖尿病学会│日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 ~糖尿病における食事療法の現状と課題~
小早川医院スタッフブログ│単純糖質と複合糖質

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