糖尿病の症状

糖尿病だと高血圧になりやすいってホント?高血圧の原因とは・・・?

はじめに

高血圧治療ガイドライン2009では、糖尿病の人が高血圧になる割合は、糖尿病ではない人と比較すると約2倍も高いとされています。

このデータでは、糖尿病と高血圧の発症には2つの病気の間に何か深い関係があるように感じますが、一体どのような関係があるのでしょうか。

そこで今回は、糖尿病と高血圧の関係について高血圧の原因から詳しく解説します。
また、糖尿病と高血圧を合併した場合の基本の治療方針についてもご紹介していきたいと思います。


どうして糖尿病患者さんは高血圧になりやすいの?糖尿病と高血圧の関係は?!

冒頭で、糖尿病の人は高血圧になりやすいというデータがあるとご紹介しました。
そこで、本項では糖尿病の人が高血圧になりやすいと考えられている3つの理由をご紹介します。


1.心臓血管系において

健康な状態だと、細胞内と細胞外では、水分を引きよせて同じ濃度になろうとする力(浸透圧)が等しく保たれています。

しかし、糖尿病で血液中のブドウ濃度が高い状態が続くと、細胞外の血液と細胞内の浸透圧のバランスが崩れ、細胞外の浸透圧(ブドウ糖が存在する側)が高くなります。

そこで、人間の体は、細胞膜を通って水分を移動させて浸透圧の差を小さくし、同じ濃度になろうとする作用が自然と働きます。
そうすると、細胞外の水分量(体液と血液)が増加します。


水分量が増加すると、全身を回る血液量(=循環血液量)も増加します。
循環血液量が多くなると、血液を送り出すポンプの役割を担う心臓に大きな力が必要になります。
つまり心臓に負担をかけてしまうということです。

そして収縮期血圧(心臓が血液を送り出すために収縮する時の血圧)が高くなって高血圧になってしまうのです。


2.末梢血管系において

細胞膜にはナトリウム、カリウム、カルシウムなどのイオンを通過させる「チャネル」という「門のような働きをしている部分」があります。
このチャネルは、細胞内・外のイオンのバランスを保つ働きをしています。


しかし、糖尿病の人は、遺伝子の欠損や突然変異が原因でチャネルの働きが低下している場合があります。
チャネルの働きが低下すると、血管の壁を形成している細胞の中にナトリウムが増えます。

そうすると、イオンのバランスを保つために カルシウムも増加します。カルシウムは筋肉を収縮させる作用があるので、これが末梢血管を収縮させ、血圧上昇につながるのです。


3.腎臓において

糖尿病で血液中の血糖が多い状態が続くと、それを改善しようと、インスリンが追加分泌されます。
血液中にインスリンが増え、高インスリン血症となります。
インスリンは腎臓においてナトリウムの再吸収を促進する(ナトリウムを体内にとどめる)ので、血液中のナトリウム濃度が上昇します。

すると、人間の体は、浸透圧の影響でバランスを保とうと、細胞間液から水分を取り込みます。
その結果、血液量が増えるので心拍質量も増え、血圧が上がってしまうのです。


糖尿病で高血圧の場合、合併症リスクが高まる?!

先に見てきたように、糖尿病患者さんの多くが高血圧になりやすい状態にあり、高血圧は糖尿病腎症などのさまざまな合併症を起こすリスクが高まります。

血液をろ過して尿を作る腎臓では常に血液が大量に流れていますが、高血圧だと腎臓への負担が高まり腎臓へ多くの負担がかかってしまうことにより糖尿病腎症をさらに悪化させてしまうのです。


また目の網膜内の血管も高血圧によりダメージを受け、網膜症に悪影響を及ぼすこともあります。


また糖尿病は、高血糖の影響により血管の弾力がなくなり硬くてもろい状態になる動脈硬化が起こりやすい状況ですが、高血圧だとさらに血管に負担がかかり動脈硬化がより起こりやすい状態になってしまいます。
動脈硬化は狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすリスクも高まってしまうのです。


病院で血圧が高いから改善しましょう、と言われたら、次のことに気を付けましょう。
血圧の正常範囲を知っておくこと、毎日血圧を測って記録しておくこと、高血圧の原因になる塩分の摂りすぎやストレス、喫煙を控えることです。


一般的な高血圧の診断基準と糖尿病合併高血圧の場合の診断基準の違い

最後に、2009年度版の高血圧治療ガイドラインと2014年4月に公開予定の最新の高血圧治療ガイドラインに沿った高血圧の診断基準に基づき、糖尿病で高血圧を合併した人の目標値をご紹介しておきます。


原因1

画像引用元(http://www.diovan.jp/illness/

一般的に高血圧といわれるのは収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上となります。
また、糖尿病合併高血圧では診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満としています。


(参考)
診察室血圧とは病院で血圧を測ると緊張してしまって血圧が高く出る状態をいいます。
家庭血圧はリラックスした状態で測定できるので本当の血圧を知る上で臨床的にも非常に大切な数値とされています。


まとめ

このように糖尿病は体の中の重要な太い血管(心臓血管系)にも、手足などの体の末端部分の血管(末梢血管系)にも、体内の老廃物を処理する重要な臓器である腎臓系にも大きな影響を及ぼし高血圧を引き起こします。

ここでは糖尿病と高血圧の関係に特化して解説しましたが、実は相互に関与し合う病気は糖尿病や高血圧に限ったことではありません。
危険因子が一つあると、それが引き金となって他の危険因子が増えてくることがあります。


肥満(内臓脂肪型肥満)、脂質代謝異常、糖尿病、高血圧などの危険因子が集積するほど様々な要因が重なり合ってメタボリックシンドロームつまり生活習慣病となり、動脈硬化へと進行していきます。

ですから、危険因子が一つでも見つかったらなるべく早めの治療をすることで他の病気の予防をすることができるのです。

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