【医師監修】糖尿病と飲酒 ~お酒との上手な付き合い方と飲み方の工夫~

糖尿病とアルコールの関係 ~血糖値に及ぼす影響について~

アルコールには血糖値のコントロールを乱す作用があるため、一般的に糖尿病の方にとって飲酒は良くないとされています。

アルコール自体には血糖値を上昇させる作用はありません。
アルコールは1gあたり7.1kcalと高カロリーであるにも関わらず、体に蓄積されることがないカロリーといわれています。
しかし、アルコールそのものが、肝臓内のグリコーゲンのブドウ糖への分解を促進させる作用があるため、飲酒後は一過性ではありますが、血糖値を上昇させてしまいます。(※)

※グリコーゲンとアルコールについて
通常、飲食などで摂取された糖質は、ブドウ糖に分解され、肝臓に運ばれます。
その後、血液を介して全身に運ばれ、エネルギー源になりますが、過剰となったブドウ糖は再び肝臓に吸収されて、グリコーゲンという物質になり肝臓に貯蔵されます。
アルコールを摂取すると、グリコーゲンのブドウ糖への分解を促進させるため、ブドウ糖は再び血液を介し体内を流れ、血糖値が上がるのです。

注意すべきは、お酒(アルコール飲料)には糖質も含むものもあるということです。
その場合、お酒を飲むことで糖質も摂取し、血糖値が上がってしまうのです。
※糖質を多く含むお酒・・・ビール、日本酒、梅酒、ワイン、甘いカクテル
糖質をあまり含まないお酒・・・焼酎類(芋焼酎、米焼酎など)、スピリッツ(ジン、ウイスキー、ウォッカ、ブランデーなど)、糖質を加えないサワー類(ウーロンハイ、緑茶ハイ、ハイボールなど)

その他、糖質を含まないお酒も含め、お酒そのものの作用ではなくても糖尿病患者さんにとって飲酒が良くないとされる理由は以下のものが挙げられます。

  • おつまみを食べるとカロリーや塩分、糖分の過剰摂取となり、肥満・高血糖を助長する。
  • 飲酒するとラーメンが食べたくなるなど言われるように、食欲が増進されてしまうため、日々の食事量が乱れ、食事療法が良好に行われなくなる。
  • お酒(アルコール飲料)は高カロリーで中性脂肪が高くなりやすい(肥満になりやすい)。
  • 肝機能障害を起こしやすい

一方で、アルコールには低血糖を引き起こすこともあります。
食事を摂ってから長時間経過しているなど空腹時にお酒を飲むと、低血糖になる場合があります。さらにインスリン注射や血糖降下薬などによる薬物治療を行っている場合は、より低血糖を起こしやすくなるため特に注意が必要です。
また高血圧の薬を飲んでいる人も、血管が広がるため急激な血圧低下を起こし意識をなくす、めまいがするといった症状が出る人もいるので、注意が必要です。

適度な飲酒なら大丈夫?~糖尿病の方の飲酒許容について~

一般的に、糖尿病患者さんにおいては “原則禁酒”と言われていますが、全ての糖尿病患者さんが絶対に飲酒してはいけないというわけではありません。

アルコール摂取が許される条件としては下記のような内容が挙げられます。

  • 食事療法や血糖値のコントロールが良好で安定している
  • 体重の管理が出来ている
  • 糖尿病の合併症や、飲酒制限のある病気を併発していない
  • 高血圧、動脈硬化を併発していても軽度のものである
  • 飲酒量の限度を守る自制心がある

飲酒許可が出た場合、どのくらいであれば飲酒量なら飲んでも良いのでしょうか。
厚生労働省は純アルコール摂取量を、1日20g程度を上限の目安とし、休肝日を設けるようにとされています。

一般的なアルコール飲料における目安量は以下のようになります。

  • ビール(350ml 1本):141kcal
  • 発泡酒(350ml 1本):159kcal
  • 清酒(140ml 1合弱):152kcal
  • 焼酎(60ml 1杯) :118kcal
  • ワイン(200ml グラス2杯):146kcal
  • ウィスキー(30ml シングル1杯):68kcal

※日本食品標準成分表 2010より

ビールや発泡酒なら350ml缶で1本、ワインならグラスに2杯、ウィスキーならダブル程度であれば許容範囲であると言えます。
日本酒(清酒)については、1合では160kcalを超えてしまいます。1合弱の140ml程度を守るよう心がけましょう。

ここで注意したい点は、上記のような飲酒条件を満たしている場合にもつい飲み過ぎてしまうという点です。
必ず医師の判断の下、指示された量や種類を守ることが重要です。
カロリーを計算して、飲食に注意してみてください。

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