糖尿病と関わり深い腎臓~3大合併症の1つ 糖尿病腎症

糖尿病は、予防や早期発見が叫ばれているにも関わらず、年々患者数が増加している病気の一つです。糖尿病の恐ろしい点は、病気そのものでは無く、合併症であることは今や周知のことです。
その3大合併症の一つである【糖尿病腎症】は、糖尿病により腎臓の機能が低下することですが、症状が進行すると尿の生成が自発的に不可能となり、血液透析療法=人工透析を余儀なくされます。この状態が末期腎不全です。
糖尿病由来の腎不全は、現在、人工透析を受ける患者さんの原因の第1位となっているほど深刻な問題となっています。

1.初期症状に乏しい糖尿病腎症・患者さんの声

糖尿病自体、初期症状に乏しいと言われています。合併症も然り、糖尿病にかかった時点から徐々に進行するものですが、体の不調などで症状があらわれるのは、糖尿病発症から10~15年と言われています。
ここでは糖尿病腎症にかかってしまった方々の経緯をご紹介し、続いて症状や原因、治療ついて述べてみたいと思います。

①40代 主婦の例
家事や育児、仕事で多忙な毎日で疲れが溜まっている中、体重が1か月で3kgほども減っていました。ストレスが原因と考えていましたが、食欲には全く変化がないのにと不思議に思っていました。
そんな中、風邪を引き病院で受診し、薬を出してもらったものの全く効かず、血液検査を行ったところ血糖値と血圧が異常に高いことが判明。さらに尿検査でもアルブミン(血中たんぱく質の一種)が検出され、糖尿病腎症と診断されてしまいました。

一体いつ糖尿病にかかってしまったのか全く自覚がない中、医者によれば、少なくとも5、6年前には既に血糖値が基準値より高かったはず とのことでした。

それからインスリン治療と共に食事療法(たんぱく質、塩分(ナトリウム)、カリウムの制限)が始まりました。

※アルブミンとは血中のたんぱく質の一種です。本来たんぱくは人体にとって必要な成分なので、尿中にはほとんど現れないのですが、腎臓の働きが弱っている(=腎症)と、尿中にアルブミンが検出されます。これが腎症の発見の指標となります。

②30代 男性の例
20代の時、健康診断で糖尿病と診断されました。しかし初期段階であったこと、自覚症状が無かったことから全く治療を行わず、普段通りの食事をし、飲酒も毎日していました。
のどの渇きや体のだるさなどは感覚としてありましたが、特に日常生活に支障はなく、
気に留めていませんでした。

その後、約10年が経過した頃にだんだん自覚症状が現れてきました。
全身の倦怠感(だるさ)に加え、体のむくみ=浮腫(特に足のむくみ)が現れ はじめたため病院に行ったところ、蛋白尿だけでなく、ネフローゼ状態であることが発覚し、糖尿病腎症と診断されてしまいました。診断が下された時にはネフローゼはかなり進行している状態で、人工透析を受けるほか治療の術がなく、1回で約5時間・1日置きの透析の毎日で、働き盛りの中、生活がガラリと変わってしまいました。

※ネフローゼ(ネフローゼ症候群とも呼ばれます。)とは、尿中に大量のたんぱく質(アルブミン量として300mg/日以上)が排出され、血中のたんぱく質が減少することで体に浮腫=むくみが出現する疾患です。

2.体験談による糖尿病腎症の症状や原因について

体験談を見てみると、糖尿病腎症と診断されてしまった方々の多くは、「糖尿病であることすら気づかない内に進行してしまっていた。」「糖尿病と分かっていたものの危機感に乏しく、そのまま放っておいたために発症してしまった。」という声が非常に多いようです。

糖尿病腎症の主な症状としましては、初期段階では(初期と言っても、糖尿病発症から10年程経過した頃です。)持続性の蛋白尿が出現してきます。
※持続性蛋白尿とは、糖尿病腎症の進行度合いを見極めるもので、常に尿に正常値以上のたんぱく質があらわれる状態のことです。

更に進行すると蛋白尿が高濃度となり、ネフローゼと言われる全身のむくみ(浮腫)や高脂血症(高コレステロール血症)の症状があらわれ、腎不全となります。この辺りから全身の倦怠感・体力の低下・体重の減少などがみられるようになってきます。さらに症状が進行すると末期腎不全となり、腎臓は自発機能が全く見られないために尿を生成することができず、本来体外に排出されるべき老廃物が体内に溜まっていきます。

3.生活を一変させる糖尿病腎症の過酷な治療

糖尿病腎症の治療については、その進行度により内容が変わります。
ベースに糖尿病があるため、糖尿病の治療+腎症の治療と併せて行うため、生活上で相応の負担が生じます。
蛋白尿が認められる段階では、投薬治療の他、血糖値と血圧のコントロールに加えて低たんぱく質・塩分(ナトリウム)・カリウム・リン・水分の制限などを日々続けることが必要になります。むくみ(浮腫)がみられる場合には利尿剤の投与も不可欠になってきます。
末期腎不全の場合は、上記のような方法だけでは症状のコントロールが不可能になり、透析療法=人工透析の導入を余儀なくされます。尿の生成能力が無くなった腎臓の代わりに透析膜を利用し、人工的に全身の血液を体外に取り出してキレイに濾過したものを再び体内に戻すという治療です。
一般的に人工透析は、1回4~5時間・週に2、3回の頻度で続けます。
このように、初期症状から末期腎不全にかけて、糖尿病腎症の治療は日常生活に大きな負担を与えることは一目瞭然です。

4.最後に

糖尿病腎症になってしまった経緯の多くは、気づかなかった・糖尿病を放っておいたなど、自覚症状に乏しく危機感の低さが目立ちます。
上記の通り、腎症になってしまうと日々の治療のために生活が大幅に変わってしまうのは避けられません。
また、一番恐ろしいのは腎不全になってしまうことです。
糖尿病と診断された時点ですぐに治療を始めること、血糖値のコントロールをしっかりと行うことが大切です。自分は全く健康だと思っている方でも積極的に健康診断・血液検査など行ってみて下さい。

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