糖尿病コラム

最大2倍にアップ!?糖尿病が癌の罹患リスクを高める理由とは

糖尿病と癌は、それぞれ生活習慣病の一つであることから共通する危険因子が多く、また糖尿病患者さんは癌にかかりやすいと言われています。
そこで、糖尿病だと癌リスクが高くなる理由や、糖尿病と癌を予防する生活習慣についてお伝えします。


糖尿病患者さんがもっとも注意すべき「すい臓癌」とは

最新の癌統計によると死亡数の多い癌は、順に肺癌、大腸癌、胃癌、すい臓癌、肝臓癌となっていますが。中でも注目すべきは、死亡数がこの30年で約8倍に増加しており、既往歴に糖尿病が多いことが明らかになった、すい臓癌です。


すい臓癌を引き起こす原因はいまだ不明な点が多いといわれていますが、糖尿病がすい臓癌発症リスクを約1.5~2倍増加させるという研究報告があります。
そのため糖尿病の患者さんは下記のことを考えておく必要があります。


“ 1. 腹部超音波検査(US)、腹部CT検査などの画像検査を定期的に施行する。
  2. 膵特異的酵素(膵型アミラーゼ, リパーゼ, エラスターゼ1, など)を定期的に測定する。異常低値にも注意を要する。
  3. 家族歴がなく高齢で糖尿病発症、治療経過中に誘因なく血糖コントロール悪化した患者は腫瘍マーカーも併せて測定する。”



すい臓癌だけじゃない!糖尿病だと癌にかかりやすい理由

糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンと深く関与しているため、すい臓癌のリスクが高いことは想像できますが、それ以外の癌の罹患リスクも高めることも分かってきました。


2013年5月に日本糖尿病学会と日本癌学会の「糖尿病と癌に関する委員会」が発表した研究報告によると、高インスリン血症や高血糖・炎症などが糖尿病や肥満とは別に癌の増殖や転移を促すとのことです。


高インスリン血症では、インスリン抵抗性によってインスリンの効きが悪くなるため、それを補おうとすい臓からのインスリン分泌が過剰に促進されます。インスリンの主な働きは、糖代謝を促し血糖値を下げることですが、それ以外にも癌細胞の増殖を促進する作用があります。また、癌細胞の増殖を促進するインスリン様成長因子-1(IGF-1)の活性を高めることで、癌の転移を促進する作用があるとされています。そのため、糖尿病だと癌のリスクが高まるとされているのです。

癌発症のメカニズムは詳しく分かっていない部分もありますが、国立がんセンターによると、現状では『すい臓から分泌されるインスリンの作用が不足すると、それを補うために高インスリン血症やIGF-I(インスリン様成長因子1)の増加が生じ、これが肝臓、すい臓などの部位における腫瘍細胞の増殖を刺激して、癌化に関与すると推察』とされています。つまり、すい臓癌だけではなく、他の癌リスクも高めてしまう可能性があると考えられているのです。さらに、日本糖尿病学会と日本癌学会の合同研究報告では、統計により、糖尿病の既往歴のある人は既往歴のない人に比べて、すい臓癌で1.85倍、大腸癌で1.4倍、肝臓癌で1.97倍、胃癌で1.06倍にリスクが高まるとの発表もされています。


糖尿病の悪化と癌を予防するには

前述の「糖尿病と癌に関する委員会」によると、糖尿病の既往歴がある人の癌発症リスクを予防するためには、生活習慣の見直しと根拠のある癌検診の重要性を強調しています。
具体的な癌予防法として、国立がん研究センターでは次のような項目を掲げています。


  • 禁煙(受動喫煙にも注意)
  • 節酒(日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本程度。
  • バランスの良い食事(食塩は1日あたり男性8.0g未満、女性7.0g未満)
  • 活動的な日常生活(歩行程度か歩行以上の強度の運動を1日60分程度、さらに息がはずんで汗をかく程度の運動を1週間に60分程度)
  • 適正な体型の維持(中高年期男性の適正なBMI値21~27、女性では21~25)
  • 感染予防、定期的な検査(癌検診)


生活習慣の見直し、食事療法、運動療法は糖尿病治療の基本でもありますので、癌発症リスクを減らすためにもきちんと取り組む必要があります。
また、定期的に癌検診を受けることもとても大切です。万が一、検診で癌が発見されても初期段階で発見されれば予後も良好である可能性が高いからです。


糖尿病治療への取り組みが癌予防につながる

糖尿病患者さんは、糖尿病にかかっていない人に比べると癌発症のリスクは上がってしまいますが、血糖コントロールを行い、糖尿病治療に前向きに取り組むことは、他の生活習慣病の危険因子を減らすことにもなり、癌の予防にもつながります。

糖尿病患者さんでも、なかなか糖尿病の治療以外で医療機関を受診する時間や機会がないかもしれませんが、癌予防のため、そしてもし癌になった場合でも早期発見、早期治療のためにも癌検診を定期的に受けて予防に努めましょう。


参照・参考
国立がん研究センター がん情報サービス│最新がん統計
日本消化器病学会│膵がんになりやすい人と早期診断法
健康美容ニュースブログ「HAKUR」│糖尿病の人は大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、膵臓がんは1.85倍も高い
国立がん研究センター がん情報サービス│日本人のためのがん予防法

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