生理不順は糖尿病が原因かも!?糖尿病の女性が知っておくべき知識とは
糖尿病の女性は生理不順(月経異常)になりやすいと言われています。
そこで、女性ホルモン、インスリン、血糖値、排卵がどんな関係にあるのかをまとめ、さらに、糖尿病の女性が血糖コントロールをする上で気をつけたいことや、生理不順を改善するための対策についてご紹介します。
糖尿病で生理不順(月経異常)が起こるのはなぜ?
糖尿病と月経は関連がないように思われる方も多いと思いますが、実は月経をコントロールしている女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)は、血糖値の上昇や低下に関わるインスリンというホルモンに影響を及ぼすことが分かっています。
エストロゲン↑ ⇨ インスリン感受性↑(血糖値 低下)
プロゲステロン↑ ⇨ インスリン抵抗性↑(血糖値 上昇)
女性ホルモンである「エストロゲン」はインスリンの効きを良くし、血糖値を低下させる性質があります。
一方、同じく女性ホルモンの「プロゲステロン」はインスリンの効きを低下させ、血糖値を上昇させる性質があることがわかっています。
エストロゲンとプロゲステロンは生理周期で約2週間ごとに交互に分泌量が大きく変化するため、インスリンの効きが影響し血糖値コントロールがうまくいかない場合があります。
たとえば、プロゲステロンの分泌が多くなる黄体期(生理前)は、血糖値が上がりやすい状態になるため、より血糖管理に注意が必要となります。
また、詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、インスリン抵抗性が強い場合や、インスリンの分泌が低下している場合は、排卵障害が起こりやすくなり月経異常を起こす場合があるとも言われています。
(画像出典:live door News)
糖尿病の女性患者さん特有の生理の悩みとは
糖尿病の女性は1型、2型といった糖尿病のタイプにかかわらず、生理不順に悩んでいる場合があります。
生理不順を改善し、血糖コントロールをおこなうには
糖尿病の女性は、女性ホルモンの関係で月経周期に伴い、血糖値が変動しやすくなります。
また、逆に糖尿病の血糖コントロールがうまくいっていないと月経周期が乱れることがあります。
そのため、定期的に血糖値と基礎体温を測り、自分の月経周期を把握しておくことが大切です。
また、過度な肥満や痩せも女性ホルモンに影響を及ぼすため、体重の増減にも注意が必要です。
特に、生理前に大きく血糖値が乱れる人は、食事の際に食物繊維を多く摂取し、血糖値の上昇を抑えるようにするなど、食事の内容にも気を使いましょう。
また、インスリン療法を行っている場合は、医師の指示で必要に応じて生理前だけインスリンを1単位増やすなどの方法で血糖コントロールを行うこともありますので、生理前の血糖値の変化をきちんと記録しておくようにしましょう。
日々の体調チェックが肝心
糖尿病は、食事療法や運動療法を基本とした血糖コントロールが欠かせませんが、女性の場合は月経周期に伴う血糖値の変動にも留意する必要があります。
妊娠を考えている場合には、生理不順があると妊娠しにくくなる可能性もあります。
また、更年期を迎える女性なら、血糖値の変動が血糖コントロール不良によるものなのか、糖尿病が悪化しているせいなのか、閉経の時期なのかなど、すぐにはわかりません。
毎日の血糖管理に加え、基礎体温も日々記録することが望ましいでしょう。
早期に体調の異変に気づいて対処するためにも、普段から基礎体温測定や血糖測定をしておくことように習慣付けましょう。
参照・参考
J-STAGE│4.エストロゲンと糖代謝
J-STAGE│インスリン依存型糖尿病女性の月経周期に伴うインスリン感受性の検討
PMS/PMDD治療専門 クリニック・ハイジーア│プロゲステロンとインスリン抵抗性