糖尿病の症状

糖尿病患者さんが注意したい!自覚症状が乏しい「無痛性心筋梗塞」とは

糖尿病の合併症の一つに「心筋梗塞」があります。
通常、心筋梗塞は激しい痛みを伴いますが、糖尿病患者さんの場合は、痛みが出ず、心筋梗塞に気づかないケースもあります。

ここでは、糖尿病で心筋梗塞が起こるメカニズムと、痛みのない「無痛性心筋梗塞」が起こる理由、また心筋梗塞の予防法を解説します。


糖尿病を患っていると心筋梗塞になりやすい理由

心筋梗塞は、主に動脈硬化によって、心臓のまわりを通っている冠動脈という血管が詰まることが原因で起こります。

動脈硬化とは、血管が高血圧や高血糖などでダメージを受けて硬くなり、もろくなった血管壁にコレステロールなどの汚れが溜まって、血管壁が厚くもろくなってしまった状態を言います。

糖尿病は、高血糖状態が続くため血管に負担をかけやすく、動脈硬化が起こりやすい状態です。
また、肥満を伴う糖尿病患者さんの場合、内臓脂肪は動脈硬化を悪化させる一因ともなりますので特に注意が必要となります。
このように、糖尿病を患っていると心筋梗塞のリスクが高くなります。


自覚症状に乏しい「無痛性心筋梗塞」とは

心筋梗塞は通常心臓が締めつけられるような激しい胸の痛みがあるのが特徴ですが、糖尿病の症状が進行し合併症で心筋梗塞が起こったとき、「痛みを感じない」というケースがあります。
これは一体なぜなのでしょうか。


糖尿病患者さんは、糖尿病の別の合併症として「神経障害」を引き起こすことがよくあります。
痛みなどを感じる知覚神経が障害されていると、心筋梗塞が起こっても痛みが感じられないことがあるのです。
こういった痛みを感じない心筋梗塞は糖尿病以外でも起こることがあり、一般的に「無痛性心筋梗塞」と呼ばれます。


心筋梗塞は、胸の痛みなどの症状が現れてすぐに受診し、適切な処置を受ければ平均2週間程度で退院できるケースが増えていますが、糖尿病の末梢神経障害により、心筋梗塞を見逃してしまい発見・処置が遅れると死に至ることもある怖い病気です。

たとえ、最悪の事態にならなくても、心臓に栄養や酸素を運ぶ冠動脈が詰まってしまうと、心臓の組織の一部が壊死してしまうこともあり、心臓の組織は一度壊死すれば元には戻らないため、心機能の低下、不整脈、狭心症などの後遺症が残る場合もあります。

そのため、心筋梗塞を予防する、つまり動脈硬化を予防するための生活習慣の見直しと、定期的な受診、検査が重要となります。


糖尿病患者さんが日常生活で心筋梗塞を予防するためには

糖尿病患者さんにおいて、毎日の生活の中で心筋梗塞を防ぐためにできることをまとめます。


・糖尿病の治療をきちんと行う
動脈硬化の進行を遅らせるためには、糖尿病の基本である食事療法、運動療法を継続し、血糖コントロールを良好にして、糖尿病の改善に取り組むことが大切です。


・喫煙習慣の見直し
タバコに含まれる有害成分によって悪玉コレステロールが溜まりやすくなって血液の流れが悪くなるため、もともと糖尿病で血管が傷ついた状態にあるとさらに血管が詰まりやすくなり心筋梗塞のリスクが高まります。したがって心筋梗塞の予防には禁煙が有効です。


・他の生活習慣病の改善
心筋梗塞の原因である動脈硬化を促す糖尿病を治療することも大切ですが、その他にも、コレステロールや中性脂肪が増えたり、高血圧で血管壁が傷ついていると、血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞のリスクを高めるので、これらの病気の予防や改善も必要です。


・ストレスの軽減、寝不足の改善
ストレスや寝不足は、自律神経系の働きが悪くなり、ホルモンバランスが乱れ新陳代謝に悪影響を及ぼします。
そうすると血管の傷などを修復できず、動脈硬化が進んでしまう一因にもなります。一見関係ないと思われがちな生活習慣の見直しも重要です。


・アディポネクチンを増やす
アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、1996年に発見され、現在も研究が続けられている物質です。

アディポネクチンには、血管壁の傷を修復したり、インスリンの感受性を上げる作用があります。
健康な人の場合、アディポネクチンは一定量分泌し、血管の傷ができればその都度修復していきます。
ところが、内臓脂肪が多いメタボリックシンドロームの患者さんや糖尿病患者さんの場合、アディポネクチンの分泌が著しく減少しているということが研究報告で明らかになっています。

アディポネクチンの分泌が少ないと、血管の傷がうまく修復できず、インスリンの効きも悪くなってしまいます。
結果的に動脈硬化が進行し、心筋梗塞になりやすいと言われています。
現在、薬でアディポネクチンを外から補充して量を増やすという方法は研究段階です。


また、最新の研究では野菜やくだものに含まれるオスモチンがアディポネクチン受容体を活性化させる働きあることがわかっています。
オスモチンを多く含む食材には、じゃがいも、トウモロコシ、トマト、りんご、キウイ、さくらんぼなどがあります。
アディポネクチンを効率良く働かせるためにも、積極的にオスモチンを含む野菜やくだものを摂取しましょう。
ただし、じゃがいも、トウモロコシなど炭水化物を多く含む食品の食べ過ぎは高血糖を招く恐れがありますので食べ過ぎには注意しましょう。


生活習慣の改善と定期検診が大切

糖尿病に罹っていると、動脈硬化が進行しやすいため心筋梗塞のリスクが高まりますが、糖尿病でさらに神経障害の合併症がある場合は特に無痛性心筋梗塞に注意が必要です。定期的に心電図などの検査を受けて心臓の状態を調べておくようにしましょう。

心筋梗塞及び無痛性心筋梗塞のいずれにしても、日常生活において動脈硬化の予防を意識し、発症リスクを減らすことが大切です。
生活習慣を改善すれば、糖尿病の悪化を予防することにもつながっていきます。

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