年代によって違う糖尿病対策の問題点

平成24年国民健康・栄養調査(厚生労働省)結果によると、「糖尿病が強く疑われる者」は約950万人とされていますが、ベターホームの料理教室に通う20代~60代の女性にアンケートした結果、糖尿病についてはその基礎知識や症状について意外に知らなかったり誤解していることもあるようです。

また、自分ではあまり気にすることなく糖尿病になりやすい生活習慣を送ってしまっている人も多く、年代別にいろいろな課題がみえてきます。

糖尿病になりやすい50代の人が意外と知らない真実

年をとるとともに活動量が減り、体脂肪が増えることに加え、インスリン分泌量、また感受性が低下するため、高血糖になりやすくなってきます。

平成24年国民健康・栄養調査結果の「糖尿病に関する状況」で、「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病の可能性が否定できない者」の割合は、下記のように40代から増えはじめ50代からその傾向が顕著となっています。

○「糖尿病が強く疑われる者」の年齢、男女別割合 ヘモグロビンA1c(NGSP)値 6.5%以上
40~49歳  男性5.4% / 女性1.7%
50~59歳  男性12.2% / 女性6.2%

○「糖尿病の可能性が否定できない者」の年齢、男女別割合 ヘモグロビンA1c(NGSP)値 6.0%以上6.5%未満
40~49歳  男性 7.2% / 女性 7.5%
50~59歳  男性 10.2% / 女性 12.1%

※ヘモグロビンA1c(NGSP)は、血糖値と違い検査前の食事や運動に左右されず、過去1~2ヵ月間の血糖の状態を反映する指標で、NGSP値(国際標準値)として示されています。
検査時にたまたま血糖値が低いこともある初期の糖尿病に関しても発見しやすくなります。

また食生活に関心が高いベターホームの料理教室の20代~60代の女性にアンケート調査(http://www.betterhome.jp/anq/tounyou/tounyou.php)を行った2004年のデータによると、40代に比べ50代になると血糖値が高いとされた方が4倍近くに増えています。
自分が糖尿病かどうか気になるかどうかという質問に対しても、50代で約6割の人が気にされています。

○健康診断で血糖値が高いといわれたことがある人
30代 2.3%、 40代 3.5%、 50代 13.1%

○自分が糖尿病かどうか気になる人
30代 33.6%、 40代 35.1%、 50代 58.3%

このように、50代は40代までと比べ格段に糖尿病になりやすい年代で、しかも気にしていることがわかります。

しかし一方で、50代の女性は30代・40代の女性と比べると、不安や関心はあるものの、糖尿病に対する正しい認識がない傾向も見えてきます。

○糖尿病について知っている知識
  *30代女性の5.3%が糖尿病またはその予備軍である
       30代 60.3%、 40代 63.2%、 50代 38.1%
  *中年以降の糖尿病予備軍は男性よりも女性のほうが多い
       30代 41.2%、 40代 40.4%、 50代 27.4%
  *糖尿病が引き起こす症状の一つとして歯周病がある
       30代 32.8%、 40代 42.1%、 50代 27.4%

       

50代の女性は、糖尿病はお腹が出た太ったおじさんの病気だというイメージを強くもっているのかもしれません。

しかし女性も年をとるにつれてインスリンの感受性が弱まってしまうため糖尿病のリスクが高まるため注意が必要です。

その歯周病・目の出血は、糖尿病によるものかもしれない

ベターホームの料理教室の調査データをみると、糖尿病によって起こる症状についてあまり理解されていないと思われるところがあります。糖尿病の合併症は下記のようにさまざまありますが、それらの認識度の割合は以下のようになっています。

○糖尿病の合併症であるという認識がある割合
  失明     87.1%
  視力の低下  64.9%
  腎臓障害   60%
  しびれ    50.1%
  手足の痛み  49.6%
  心筋梗塞   48%
  脳卒中    42.6%
  自律神経障害 40.3%
  目の出血   39.3%
  狭心症    34.4%
  歯周病    32.1%

◎認識率が高い三大合併症の重篤症状

高血糖が続くことにより末端の細い血管が障害されることにより発生する3大合併症の重篤な症状に関しては、5割以上の認識がありました。

   

3大合併症・・・・5割以上の認識
     糖尿病網膜症 (失明・視力の低下)
     糖尿病腎症  (腎障害)
     糖尿病神経障害(しびれ)

細い血管が多い、眼・腎臓・神経の周りに関しては、高血糖が続くことによる影響を大きく受けやすいので、こうした部分に関連した症状が出てきます。

◎動脈硬化からくる心筋梗塞・脳卒中は4~5割の認識

糖尿病が危険因子の一つとなっていて、高血糖の持続に加え肥満や高血圧といったメタボリックシンドロームが重なるとさらにリスクが増す動脈硬化。これにより起こる心筋梗塞、脳卒中といったものは4~5割の認識率となっています。

高血糖の状態が続くと、血管がダメージを受けて硬くなりやすく、さらに血管の内側にコレステロール等が蓄積して動脈硬化が起こります。

その結果、血管が細くなって血流障害により狭心症が起きたり、詰まってしまって心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことがあります。
さらに肥満・脂質異常症・高血圧があると動脈硬化を起こすリスクが高くなるので注意が必要です。

◎重篤な状態になる前に、注意したい症状

自律神経障害・目の出血は、更年期障害や加齢でも出てくる症状なので、糖尿病との関連性ということで認識が低い状態にあります。
しかし、これらも糖尿病や血糖が高い場合は、末端の細い血管の障害が原因している可能性もありますので注意しておくべき症状です。

狭心症の場合も動脈硬化から来ているので、血圧や血糖のコントロールをしっかりと行うことが大切です。

◎全体で3割強しか認識がなかった歯周病

歯周病は、糖尿病が引き起こす症状としての認識が3割強と少なくなっています。
糖尿病になると、細菌やウイルスを食べてくれる好中球と呼ばれる白血球の一種の機能が低下してしまいます。

また高血糖により神経障害や血流障害も起こり、従って感染を受けやすくなります。
糖尿病等の持病を持っている人は感染症が重症化しやすいというのはこのことが原因です。

歯周病も歯周病菌という細菌が原因で起こってくるので、糖尿病により感染を受けやすい状態になると歯周病になりやすくなってしまいます。

一見、歯と糖尿病は何の関係もなさそうですが、歯周病になりやすく、また重症化もしやすいので十分注意が必要です。
また、歯周病により、インスリンに対する感受性も低下するといわれており、高血糖や糖尿病で歯周病がある方は早めのケアが大切です。

参考:http://jp.diabetes.sunstar.com/expert/interview05.html

若いからと油断禁物。20代・30代こそ乱れている、糖尿病になりやすい生活習慣

糖尿病になりやすい生活習慣として下記のようなことが挙げられますが、20代、30代の若い世代の人は、年配の方に比べ多くの問題を抱えています。

  • 就職をして仕事で時間がなくなる
  • 仕事でのストレスを溜めやすい
  • 一人暮らしなどで生活が乱れやすい

こういった問題は、時間がないことによる運動不足、ストレスによるやけ食い、生活の乱れによる偏食などにつながりやすくなります。

ベターホームの料理教室の調査データをみると、20代・30代は糖尿病になりやすい多くの生活習慣を知らず知らずのうちに行っています。

一番目立つのが、「運動を特にしていない」ことで、20代で75.6%、30代で58%と他の年代層より多くなっています。

さらに、甘いお菓子や飲み物・脂っこいものを良く食べる・夜にどか食いするといったことで、カロリー過多や栄養バランスに関する問題点が多くなっています。

それ以外でも、「ストレスが多い」「食事を抜く」といった糖尿病になりやすい生活習慣をしている人が年配者に比べ明らかに多くなっています。

適度な運動をし、いたずらにストレスをためず、甘いもの・脂っこいものを控え、夜のどか食いをやめるという生活習慣は、若い人ほど注意すべきという結果が出されています。
若いうちから将来糖尿病になりにくい健康な体づくりを目指すことが大切です。

若いうちに身についてしまった過食や偏食、運動不足といった習慣は、年とともに代謝が落ちたりホルモンが変化してきた時に、肥満にやりやすく、糖や脂質を体に溜めやすい体質になってしまいます。

年代別で気を付けなければいけない糖尿病への認識と対策

ベターホームの料理教室の調査データをみると、20代~60代の女性について、それぞれの糖尿病に対する問題点が浮き彫りになってきます。

20代は、4人に1人がすでに糖尿病を気にしていて、意外と若いうちから関心が示されています。
糖尿病に関する基礎知識も比較的ありますが、「運動を特にしていない」「いつも甘いものを買ってある」「脂っこいものをよく食べる」といった将来糖尿病になりやすい生活習慣を持っている人が多いのも事実です。
まず生活習慣を見直し、実行することが大切です。

30代になると、3人に1人が糖尿病を気にするようになり、基礎知識や糖尿病による症状についても認識が高い世代になっています。
しかし働き盛りということもあり生活習慣は20代についで食事を抜く、夜ドカ食いする、ストレスが多い等いろいろと問題が多くなっているので、今一度生活習慣をも直してみることも大切です。

40代は、そろそろ糖尿病になる人が増え始めてくる年代です。
血糖値に注意をし、目の出血・自律神経障害・歯周病等の糖尿病が引き起こすことがある症状についても気を配っていくことが大切です。

50代は、さらに糖尿病になりやすくなるため、糖尿病に対する基礎知識や症状について再度認識をし直すとともに、食事はゆっくりと、食べ過ぎに注意し適度な運動と規則正しい睡眠などを心がけます。

60代は、50代に比べさらに糖尿病の人が増えてきます。規則正しい生活習慣を続けていくことが大切です。

糖尿病に対する各年代での状況を知り、正しい認識をもち、自己の生活習慣を見直しすることが、糖尿病予防の第一歩につながります。

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