糖尿病コラム

“尿の泡立ち”に注意。糖尿病性腎症のサインを見逃さないで!


糖尿病性腎症の病期分類

腎機能は、「尿中アルブミン排泄量(UAE)」または「尿たんぱく排泄量」と、クレアチニンという物質が糸球体でどのぐらいろ過されているかという「血清クレアチニン値から求める糸球体濾過量(eGFR:推算糸球体濾過量)」を用いて評価します。

この腎機能の評価によって、腎症の進行度が第1期から第5期まで、5段階に分類されるのです。


<第1期>

第1期(腎症前期)は、尿中アルブミン排泄量や尿たんぱく量は臨床検査では検出されません。糸球体の病変もないか、あっても軽度です。


<第2期>

微量アルブミン尿が確認されるようになると、第2期(早期腎症期)ということになります。第2期の特徴である微量アルブミン尿は、血糖コントロールを良くすると回復します。定期的に尿中アルブミン量を測定し、糖尿病性腎症が第2期よりも進行しないように注意することが重要です。


<第3期>

第3期になると、持続的にたんぱく尿が認められるようになります。また、eGFRも徐々に低下してきます。このころには、糸球体の病変も進み、中等度から高度の病変となります。


<第4期>

さらに進行して第4期になると、たんぱく尿が持続するようになり、eGFRも著しく低下するようになります。糸球体病変も進んで徐々に硬くなり、機能が著しく低下して腎不全と診断されることが多くなります。


<第5期>

そして第5期に進行すると、腎臓が機能しなくなり、透析療法をおこなうようになります。


第3期以降では、腎機能の回復は難しくなってくるので、それ以上悪化しないようにすることが重要になるでしょう。


高血圧は糖尿病腎症を悪化させる原因

高血糖が続き、腎臓に障害が起きると、腎臓内の毛細血管が細くなったり、糸球体が目詰まりしたりするなどして、腎臓の血流量が減少します。血液をろ過するためには血流量を確保する必要があるため、腎臓では血圧を上昇させるホルモンを分泌し、血圧を上げます。

血流量は確保できますが、血圧が上昇することで血管が傷み、さらに腎機能が低下するという悪循環が生じることになるのです。

糖尿病腎症に伴う高血圧の方だけでなく、糖尿病の方では、肥満や飲酒の習慣、濃い味好みなど、高血圧を合併している方も少なくありません。腎機能を保つためには、血糖値だけでなく血圧のコントロールも非常に重要になってきます。


糖尿病腎症の治療の基本は

糖尿病腎症を発症した患者さんは、腎機能の低下の原因となった糖尿病の血糖コントロールと、腎機能の悪化を防ぐ血圧の両方を、厳密にコントロールする必要があります。


<血糖値のコントロール>

血糖値は、食事療法と運動療法を基本とし、医師の診断によっては、血糖降下薬やインスリンなどの薬物療法もおこなわれます。


<血圧のコントロール>

血圧のコントロールの基本は、腎機能が悪化しないよう腎保護作用のある降圧薬となることが多いようです。その他、腎症の重症度によって、たんぱく質、塩分、水分などの摂取制限や、体重管理も重要です。


糖尿病腎症の自覚症状をチェックしましょう

糖尿病腎症は、ほとんど自覚症状が無く、第3期以降になって初めて症状に気が付くようになります。血糖コントロールが不良な方は、特に腎症が進行している可能性が高く、早急な治療を必要とします。

以下のチェック表で、自覚症状をチェックしてみましょう。


第3期の自覚症状第4~5期の自覚症状
むくみ顔色が悪い
息切れ疲れやすい
胸苦しい悪心・嘔吐
食欲不振筋肉のこわばり
満腹感つりやすい
筋肉や骨の痛み
手のしびれや痛み
腹痛
発熱

出典:一般社団法人全国腎臓病協議会4.糖尿病性腎症の病期分類


早期発見・早期治療で糖尿病腎症を予防しよう

糖尿病患者さんが腎障害を合併すると、心血管系疾患の発症リスクが非常に高くなります。糖尿病性腎症は、早期であれば血糖と血圧のコントロールで腎機能の回復も期待できますが、治療せずに進行すると、腎臓の機能を失い、透析もやむを得ない状況になりかねません。

尿の状態や、自覚しやすい体の変化は、腎臓からのサインかもしれません。症状に気付いたら、医師あるいは医療機関で相談しましょう。

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