【医師監修】冬に要注意の食中毒!「ノロウイルス」は二次感染の予防がポイント
「ノロウイルス」は集団感染を起こしやすい!
夏にはサルモネラ菌やカンピロバクターによる食中毒が多く見られますが、冬に気をつけたいのはノロウイルスによる食中毒です。冬に起こる食中毒の6割以上が、ノロウイルスによるものであると言われています。
ノロウイルスはしばしば、大規模な集団感染を引き起こしてきました。ノロウイルスそのものは、中心部の加熱が不十分なカキなどの二枚貝を食べたときに感染することがあります。「カキにあたる」というケースですね。しかしそれ以上に、ノロウイルスに関しては人を介した二次感染の広がりが大きいのです。
ノロウイルスに感染した人が調理した食べ物を食べたり、ウイルスの付着した手で同じドアに触れたり、またノロウイルスに感染した人の嘔吐物や排泄物からウイルスが空気中に漂うことで感染が広がります。このためノロウイルスに関しては、二次感染の予防がとても重要です。
ノロウイルスの症状は?
ノロウイルスに感染すると、24~48時間程度で症状があらわれると言われています。吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱といったものが主な症状です。トイレから離れられない!という重いケースもあれば、風邪と勘違いされる程度の軽いケースもあります。俗に「胃腸風邪」と言われる症状の中に、ノロウイルス食中毒がかくれていることも多いのです。
食中毒のこわさは、お腹を壊したり、嘔吐してしまうことばかりではありません。高齢者や小さな子供の場合、嘔吐したものを喉につまらせてしまうこともありますし、細菌を気道に吸い込んでしまうことで肺炎を発症することもあります。下痢や嘔吐がひどい場合には、脱水症状にも注意しなければいけません。
またインスリン療法を行っている患者さんの場合、吐き気や下痢できちんとした食事をとることができなくなるとインスリンの調整が非常に難しくなります。「食べられない」時にいつも通りのインスリンを使用すると低血糖発作を起こしてしまいますから、慎重な調整が必要です。